7/30/2012

一泊二日の郡上市訪問。〜田んぼから小水力発電まで〜その⑤

こんばんは
毎日暑い日が続いております。
先日から続けて書いていたシリーズも今回で最後です。
たくさん書きたいことがあったので、分割してしまいました。
ただ、それほど色々と刺激がある二日間となりました。
最後は石徹白で行われている小水力発電に関してです。
こちらで小水力発電が行われていると言うことを初めて知ったのは、実は記憶に定かではなく
いつのまにか小水力発電というと、こちらの石徹白に関しての記事が、マスコミやインターネットでも多く出回るようになっていた感じがします。
いつか石徹白に訪れて、実際に発電所が稼働している様子を見てみたいと思うようになりました。
石徹白の小水力発電の思いの源は、「自分達の手で、自分達の暮らしを作っていく、自治の精神。石徹白の言葉で言うと(甲斐性)を取り戻すこと。」(朝日新聞インタビューから)
こちらの石徹白に移住し、NPO法人の副理事をしていらっしゃる、要の人物平野彰秀氏の言葉です。
75年生まれのまだお若い方ですが、私はこの精神に共感しました。素晴らしい志だと感じます。


石徹白の特産物でもある、とうもろこしの加工工場です。
工場の隣にある水車型発電機により、24時間絶え間なく電力が生産され、加工工場で利用されています。


水車の横に取り付けられた発電機です。
こちらのモーターより、加工工場に電気を送っています。


写真の加工場の横の道路の脇には、水路があります。
高原地帯で、土地の高低差が非常に激しい石徹白では、山系からの恵の水が、大量に水路を勢いよく流れています。
その水路に写真の様な、スクリュー型の発電機が設置されています。こちらの発電機は、水車型発電機の様に大きな場所を取らずにこのぐらいの幅の水路があれば設置が可能です。
このようなスクリュー型の発電機が数台水路沿いに設置され、将来的には小水力発電の電気をグリッドし、町内の電力供給をほぼ供給できればいいなと聞きました。







水力発電による動力供給とは別に、給湯などは薪ボイラーの利用などを併用して、総合的な家庭内エネルギーの自給自足を目指したいと・・・。
水資源を利用した小水力発電、間伐で発生した木材を利用しての薪ボイラーによる給湯、暖房使用。
いままで有効利用されてなかった地域に存在するエネルギー資源を使うことによる
「地球温暖化防止」「地域自治の再生」
他所の犠牲があった上での電力供給ではなく、自分達の暮らす自然の神からの産物により
人間の暮らしに還元する方法は、様々な角度からみても、頼もしくてワクワクしてしまうのは
私だけでしょうか?
戦後日本人は、朝から晩まで会社組織で働き、納税をし、その税金が今に至るまで非常にいい加減な使われ方をしてきました。
毎日のように流れてくる官僚政治や既存政治、日本政府に対する不満の映像やトピック。
テレビのインタビューで発言される人の声は
「早くよくなってもらわないと困るわね。」
いつのまにか日本人は、だれかに委任するという形式がデフォルトになってしまっている例だと感じています。
自分は直接関わらない、税金は納めているから文句だけは言わせてもらう。
じゃあ、なにか少しでも行動しているのかと言うと、そう言う人は無駄に一日中テレビを付けっぱなしで、意味の無い日を送っているかもしれない。
そのテレビのお笑い番組の電気は、もしかして行き所のない核燃料廃棄物と巨大利権にまみれた汚れた電気かもしれない・・・。

柄谷行人と浅田彰が「露悪趣味的共同体」から「偽善的社会」について述べていた記事で

「人権なんて言っている連中は偽善に決まっている。ただ、その偽善を徹底すればそれなり効果を持つわけで、すなわちそれは理念が統整的に働いていると言うことでしょう。」
と述べていたことがある。
更に「善を目指すことをやめた情けない姿をみんなで共有し合って安心する。日本にはそう言う露悪趣味的な共同体の作りが伝統的にあり、それはマスメディアによって煽られ、強力に再構築されている。」

私はその人権の部分をいろんな事に置き換えることができると解釈しています。
「どうせこんなことをやっても、世の中が変化するわけが無い。」
地域自治、電力供給・地球温暖化問題、食物、病気、教育・・・・。
戦後半世紀で、構築されてきた既存の国家運営に、様々な部分で大きなバグが発生し
早い段階でリストラクチャーしないと、いろんな事が取り返しが付かなくなってしまう。

大げさかもしれませんが、今国内で動き出している、持続可能社会形成への取組や、今回の電力供給をトリガーとした地域再生の取組は、今はもしかして「エキセントリックな奴がいるな。」とバカにする人もいるかもしれません。
なぜなら、巨大な箱物では無い故に、今の段階では大きな政治力や利権力をもたないからです。
ただ、私はこうした取組は日本が将来的に先進国として頂点に登りつめた次なる社会形成の
歴史的一歩であると感じています。
大げさでは無く、人々がもう一度地に足の付いた生活を見直し、日本を世界のお手本にしていけると感じ行動すればそれは大きな力に繋がると確信しています。

わたしも自分で少しでも何かに関わっていけないものかと、春から小さな活動を通して、地球温暖化防止に対して色々な人のお話を聞かせてもらっています。
それらを経験していると、意外にそんなエキセントリックって思われてるような人々が私の周りにも沢山いて、学者さん意外の一般市民でも心のどこかでは、なんとかしないといけないと
思い始めていることが、よく解ってきました。
ですから、露悪的に開き直り既存体勢に惰性的に乗っかることは、そろそろ卒業してできればと
自分自身も改めて肝に銘じたいところです。

小水力発電のを見学したあとは、車を少し走らせて、石徹白の人々が白山信仰や地域の神様として大切にしてこられている白山中居神社に伺いました。


 石徹白洋品店の女将さんが「地域の皆さんが大切に信仰している、特別な場所なので是非見てきて下さいね。」とお話しされていたことが、今でも心に残っています。


 神社から一本道を数キロで、石徹白大杉に到着しました。
駐車場から山へ少し登った所にあり、この日は石徹白の皆さんで外来種からまもる保存作業をされていました。



私が石徹白洋品店さんで、購入したヘンプのハンカチにもこの石徹白大杉がワンポイントで
プリントしてあり、まさに人格が存在するかのような、独特な感覚をこの大杉から
受けました。
お爺さん杉ですが、いままで色々と山を守ってきたかのような、父性的な感覚です。
そんな素敵な石徹白はこちらのHPに町の情報が載っていますので、見て下さい。



そして石徹白の自然の恵み、とうもろこしの予約販売が開始されたそうです。
糖度が高く甘くて美味しい石徹白産の遺伝子組み換えではないとうもろこしの通販もこちらで
受付されているそうです。


短い時間での石徹白訪問でしたが、お天気もよくとても有意義な時間となりました。
今回の二日間でいろいろな方とお話しをしました。
田んぼでの参加者の方〜石徹白でのお話しまで。
色々な方に感謝したいと思います。ありがとうございました。

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